11月7日(金)
いつもの事ながら、出かける寸前までばたばたしていたので自宅から成田空港までの車の中やコペンハーゲンまでの飛行機の中やトランジット場所のカフェの椅子やミュンヘンまでの飛行機の中やミュンヘンからヴェルス市までの車の中でずっと寝ていました。自分でも、よくこんなに眠れるなぁ〜というくらいに寝ています。そのおかげで本日は顔色が良くとても元気。

11月8日(土)
という事でオーストリアのヴェルス市で毎年開催される、今年で22回目となるフェスティヴァル、Music Unlimitedに招かれました。大友良英さんがフェスティヴァルのキュレーターを務められた99年にHoahio(私とHacoとSachiko M.)で出演して以来2度目となります。
今日は土曜日とあってマーケットは人で溢れていました。それにしてもオーストリアはカフェとお菓子屋さんの数が凄いですね。それぞれのお店に個性があり、歴史の古さを感じます。今日はオフなのでマーケットを散歩した後、食事がおいしいと評判のビアホールGösserbräuへ。そこで明日共演するペーター・ブロッツマン(s)にバッタリ。おいしいお店には自然と音楽家が集まるものです。
夜、まずはKen Vandermark(s)、Lasse Marhaug(electronicsc)、Paal Nilssen-Love(ds)からなるトリオ、Fire Roomを聴きました。Kenの知的でパワフルな演奏、Paalの器用かつ類い稀に見る音楽的な才能、そしてLasseの構成力の素晴らしさが際立ったセットにお客さんは大喜びでした。女性5名のアカペラ・グループKackalaを挟んで今夜のトリ、Getatcher Mekuria & The Ex + Guestsが登場。エチオピア音楽とジャズとロックのゴッタ煮に乗せられ、観客は一気にダンスモード。

11月9日(日)
今日はフェスティヴァルの最終日。私はトリでペーター・ブロッツマン、ポール・ニルセン・ラヴとのトリオで演奏します。演奏時間は午後11時頃の予定。私は早起きで夜に弱いという音楽家らしからぬ体質。起き上がりたくなる気持ちを押さえ、なんとかお昼近くまで横になり、12時にサウンドチェックのため会場へ。今回は楽器超過料金の折り合いがつかず、やむなく20絃箏しか持っていけなかったので、その旨をエンジニアに伝え音楽をどうしたいかを告げたのですが、その簡単な打ち合わせだけで瞬時に私のしたい事が実現でき、本番も私の演奏に合わせて様々に音色を変えてくれました。
割れんばかりの拍手と足踏みを受けながら演奏を終え、音楽家やプレスが集う食堂で深夜まで打ち上げが続きました。ザ・ネックスでおなじみのトニー・バック(ds)、ICPオーケストラと何度も来日しているメアリー・オリヴァー(viola)らとの楽しい一時...

11月10日(月)
という事で打ち上げしているうちにもう朝です。午前7時30分にホテルを出発、ミュンヘン経由で夕方トルコ・イスタンブールに到着。
イスタンブールも2度目です。前回はトプカピ宮殿内の普段入れない遺跡の中での特別な催しで、世界中の観光客の前でのコンサートでしたが、今回は地元のクラブGhettoでの演奏。
ホテルにチェックイン後、主催者に連れられて地元で人気のカフェ(もちろんターキッシュ・コーヒーです)やレストランへ。
この国の人たちはヨーグルトが大好きで、野菜はもちろん肉料理にも添えて食べます。あまりにもおいしいので日本でもやってみたいと思う反面、どうやらこのクリーミーさはトルコ産のヨーグルト特有の舌触りのようです。

11月11日(火)
午後、グランド・バザールへ。時間の都合上、その一角にあるスパイス・マーケットにしか行けませんでしたが、それだけでも楽しかったです。4年前に寄ったコーヒー屋さんが偶然見つかったので、長蛇の列に並んで1キロ購入。地元の人々の列ほど確かな味はないですよね。
本番前にターキッシュ・ディナー。写真に撮っておきたい!と思わせる食事でしたが、関係者との打ち合わせや接待を兼ねていたので、残念ながら撮れませんでした。
さて、Ghettoでの本番。難しいとはいえ私は即興が好きだし、どちらかと言えば向いているのではないかと思います。どんな事が自分の身に起きても、この弾いている瞬間さえあれば何も必要ないと思うほど尊い時間です。まだまだ多くの事を勉強しなくてはいけませんが、大勢の観客や関係者に感動の言葉を頂くと、ここまで辛抱強く支えてくれた人々に感謝せずにはいられません。

11月12日(水)
午前5時50分に出発、と聞いていたのは大間違い。それはフライトの時間でした。ホテル出発はなんと午前3時30分。横になれる時間はわずか30分。宿泊したPoint Hotelの朝食があまりにも素晴らしかったので、食べずに出かけるのはとても残念でしたが、昨夜の終演後、会場からホテルまで送ってくれた人たちは楽器車の中で待機ですから、こちらも贅沢は言えません。それでも、トルコの人たちは疲労を顔に出さず、いつでも親切で優しく、そんな民族性を忘れないようにしたいと思いました。
イスタンブールからフランクフルト、そしてコペンハーゲン。順調に帰国の途に着くはずでしたが、コペンハーゲン空港でなんと飛行機が離陸寸前に急ブレーキ! 機長のアナウンスによると、離陸寸前に異常な揺れを感じ、急遽離陸を止めたそうですが、摩擦でタイヤから煙が出て消防車まで出動。ヒヤリとしました。結局、揺れの起点の調査やタイヤの交換のため飛行機内の座席で3時間以上待つ事になりました。やれやれ。

右側に見えているのが飛ぶ筈だった滑走路。
旅の思いでをこちらに載せました。お時間のある方はこちらもどうぞ。
11月13日(木)
前日の飛行機トラブルのせいで、ちょうど3時間遅れで成田に到着。今年の4月、ノルウェーで一緒にレコーディングしたアイヴィン・オールセット(g)がニルス・ペッター・モルヴェル(tp)のバンドの一員として六本木のビルボード・ジャパンに出演しており、打ち合わせにどうしても行かなくてはいけません。彼の来日と私の渡欧のスケジュールがうまく噛み合ず、彼は明日帰国するというので、どうしても今夜しかありません。帰宅するや否や、さっとお風呂に入り、着替えてすぐに会場へ。
ニルスのバンドの演奏は一昨年ノルウェーのコングスベルグ・ジャズ・フェスティヴァルで聴いた時より素晴らしかったです。 終了したのは午後11時近くでしたが、頭の中の時計が壊れているので、まるでこれから1日が始まりそうな興奮状態がしばらく続きました。
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