ベルリンから帰って来ました。
現地は思ったほど寒くなく(と言ってもホールとホテルの往復しかしていませんが)ベルリンフィルのスタッフ皆さんのおかげで楽器を自分で運ぶ事も殆どなく、演奏のみに集中できる滅多にない体験でした。
11月30日(月)
成田より出国。前日、楽器のサイズの件でブリティッシュ航空から電話があり、もしかしたら楽器が乗せられないかも知れないとの事でしたが、それも無事解決。
そして同日、ベルリン着。
よくある事ですが、今回も空港に届いたのはスーツケースのみ。楽器と楽器スタンドは、トランジット場所であったイギリス・ヒースロー空港においてけぼりと判明。とりあえずホテルへ直行。
通常はホテルへ入った後、楽器やスタンドのコンディションを確認するのですが、それができませんでした。しかし私は、この時とても体調が悪く、すぐに熱いお風呂に入って休む事ができ、逆にとても助かりました。
12月1日(火)
昨夜のうちに楽器だけはホテルに到着したと連絡が入りました。朝のうちにベルリン・フィルのスタッフがホテルからホールへ運んで下さってあり、私達はホールへ向うのみ。本日はホールを使ってのリハーサルです。今回は企画もベルリン・フィルハーモニー・オーケストラ主催のコンサートとあって、音楽家として音楽に専念できるよう手厚い配慮がされており、本当に音楽のみに集中する事ができました。コンサートの内容はタイトルに書いたとおり、トルコのネイという尺八が細くなったような楽楽器(実際はルーツはこちらで、日本へ入って来てから様々なノイズが出るように管が太くなっていったのですが)を中心とするトルコの音楽と日本の音楽を融合させる、というもので、日本勢は尺八の中村明一さん、17絃箏の磯貝真紀さん、そして20絃担当の私が行きました。以前、同じ企画をトルコのトプカピ宮殿で行いましたが、その折はパーカッションが土取利行さんでした。今回はフレームドラムの達人 Bruno Caillatさん、カヌーンと呼ばれる箏の祖先のような楽器にHakan Gungorさん、そしてネイにKudsi Ergunerさんです。
さて、リハーサルでは最初、楽器を椅子の上に置いて演奏していましたが、昼食後スタンドも無事に届き、本番どおりのスタイルで演奏できたので、さすがにほっとにしました。

12月2日(水)
平日の夕方というのに、そしてフェスティヴァルでもないのに、1400の客席はほぼ満席。トルコ音楽はベルリンでは大きなシーンだとブッキングマネジャーが言っていましたが、かといって客席にトルコ人が多い訳ではなく、人種も年齢も様々で、広告にかける力も聴く方のゆとりも日本では想像できないほど豊かです。音響も体験してみなければわからないほど良いです。私は時々ベースの弓で演奏しますが、これまでに聴いた事がないほどのびやかで繊細に聴こえました。小さな音ほど、その響きに驚きます。演奏終了後はスタンディング・オベーション!大勢の方々が楽屋に感謝の言葉を述べに来て下さいました。とても良い環境ですべてが進行していったので、こちらの方が感謝したい気持ちでした。ベルリン・フィルの有能なスタッフに感謝致します。数少ないものの、自分が撮った写真を近々載せ、徐々に皆さんから送られてきたものも追加していくつもりです。
12月3日(木)
午前9時30分成田着。
楽器は無事に成田空港に届いていました。やれやれ。
さて、ヒースロー空港から偶然にも一緒に搭乗していたマリーノ・プリアカス(b)、ミヒャエル・ヴェルトミューラー(ds)と共に家人の車で都内へ。一休みした後、新宿PIT INNへ今日からツアーが始まるペーター・ブロッツマン率いるFULL BLASTを聴きに行きました。ミヒャエルさんのドラムは速くてパワフルなんだけど気品もあり、また、マリーノさんのベースもスピード感があり、恐ろしく難しいフレーズをなんなく演奏します。びっくりするような音楽なのに、ごりごりした感じではなく、美しい音色でした。ペーター氏が「彼らとのトリオは特別なんだ」と言うのがうなずけます。この日のゲストは近藤等則(tp)。ペーターと長年つちかったあうんの呼吸で会場を魅了しました。
さて、12月9日(水)、いよいよ3年目を迎える以下の祭典が開催されます:
『ブロッツフェス 2009』 @ SuperDeluxe
出演: ペーター・ブロッツマン、坂田明、ジム・オルーク、八木美知依、本田珠也、マリーノ・プリアカス、ミヒャエル・ヴェルトミューラー、田中徳崇、トッド・ニコルソン、荒巻茂生
開場19:30/開演20:00
前売り 4000円/当日 4500円/学生 3000円全て1ドリンク付き
Tel: 03-5412-0515
貴重な体験がでそうで、とても楽しみです。是非お越し下さい!

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